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2012年12月30日 (日)

医療モデルと生活モデル

医療モデルと生活モデル。聞きなれない言葉かもしれませんが、医療や福祉の世界では時々使われる言葉です。特徴をまとめると下のようになります。

★医療モデル

・個人の行動や特性

・疾病、傷害

・治療、リハビリ

・行動変容

・障害の見立て

・生命尊重

・原因追究重視

★生活モデル

・社会との関係や状況

・個性、特性

・生活

・環境調整、改善

・困りの見極め

・生活尊重

・関係改善重視

医療モデルは、どちらかというと、ご本人に頑張っていただくといった視点でしょうか。一方で、生活モデルは周囲の環境を整えるといった視点でしょうか。医療や福祉の場において何らかの課題がある場合、これらのモデルが活用されることがあります。

例として、脳こうそくの患者さんに対して、本人に頑張ってもらいリハビリをおこなうというのは医療モデルの考え方です。自宅をバリアフリーにする、歩行器などの補助機器を使って生活しやすくするのは、生活モデルの考え方になります。どちらが良いとか悪いといったことはありません。必要に応じて使い分けていく必要があります。しかし時に、このモデルは対立を生むこともあります。

私はかつて知的障害児者の施設で生活指導員として働いていました。男子の成人施設に配属され、30人という小さな規模の施設だったため、わりと家庭的な雰囲気の中で利用者は生活していました。私は旅行好きということもあって、その施設で働いている間、年2回の宿泊旅行の企画をずっと担当していました。利用者の希望に沿って、今度はどこへ旅行しようかと企画していました。成人の施設ということもあり、宿泊先ではいつも宴会が行われました。普段は飲酒の機会もめったにないので、こういった時は希望者にはお酒を提供していました。利用者もそれをとても楽しみにしていました。

ある年の旅行の時です。いつものように楽しく旅行を終え、数日後の職員会議で旅行の反省会を開きました。その会議の席で、新任の看護師がこう切り出しました。「疾病管理されている人に、お酒を飲ませるとはどういうことですか。何かあったら誰が責任を取るんですか?」この発言に会議の席は沈黙となり、最終的には以後の旅行では飲酒は一切禁止となってしまいました。

社会福祉の研修において、利用者の要望と、その利用者にとって必要なことが対立した時に、どう考えたら良いかという演習がしばしば出されます。この場合は、楽しみのための飲酒が「要望」になり、疾病管理のため飲酒は禁止するというのが、「必要」なこととなります。

確かに利用者の健康を考えれば、飲酒はさせないというのは正しい選択肢であるのでしょう。一方で成人利用者にとって数少ない飲酒の機会は、生活するうえで楽しみだったに違いありません。

こうした課題は本人、家族はもちろんのこと支援者もなかなか結論が出せないこともあります。医療は命を守り、福祉は生活を守るといわれることがあります。どちらも大切な考え方ですが、現実の支援の中でどうバランスを保ったらよいのかは容易ではないというのが正直なところです。

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